2020年6月23日 更新
山岳雑誌「山と渓谷」のシリーズ企画に「全国隠れ名山」と言うのががありました。
現在は「季節の山歩き」と言うタイトルに変わっていますが
毎月、全国各地の日帰り登山が楽しめる山を4~5座紹介するコーナーで
私も年に数回、岩手の山を書かせてもらっています。
その「隠れ名山」と言えば、盛岡周辺にはそんな山がたくさんあります。
岩手と秋田の県境に立つ笹森山もその一つです。
登山口は国見温泉。
そう、花の時期は多くの登山者で賑わう秋田駒ヶ岳の登山口があるところです。
登山口はほぼ同じでも、ほとんどの登山者が秋田駒を目指し、笹森山を目指す人はまずありません。
そこに笹森山の登山口があること、そして笹森山と言う登れる山があることを知らない人が多いはずです。
仮に「あれが笹森山だよ」と言われても「へー」で終わり。
標高も995.65mと高山でもなく、特徴ある山容でもなく
登ってみようと思う魅力的な山ではないと言えます。
でも、その山頂からの眺めは抜群なのです。
文字通り360度のパノラマが広がっています。
南西に遠く鳥海山。南に和賀山塊、焼石連峰などの奥羽山脈の山々。
東には盛岡市街と早池峰山をはじめとする北上高地の山なみ。
北東には姫神山と岩手山から続く裏岩手の山々。
そして、北にでっかく秋田駒ヶ岳が迫ります。
旧国道46号ゲートから歩き、ヒヤ潟から国見峠を踏んで笹森山に立ち
ブナの道を滝川へ下って渡渉し、国見温泉へ登り返すコース取りがおすすめ。
季節はブナが色づき山肌が錦秋に染まる秋が素晴らしいです。
登山者で溢れかえる秋田駒をしり目に
誰もいない静かな山頂でゆっくり大展望を楽しむ。
笹森山は、そんな贅沢な山時間を過ごせるまさに隠れ名山です。
秋田駒が間近です
盛岡市街と早池峰山
左 貝吹岳 右奥 和賀山塊