2015年8月8日 更新
山のガイドブックや地図に載っているコースタイムは、
誰が歩いてもそのタイムになるというものではないし、
誰もがそのタイムで歩かなければならないというものでもない。
そのタイム以内で歩けたから称賛されるとか、
そのタイムで歩けなけなかったから恥ずかしいというものでもない。
ましてやそのタイムを基準として、それより早ければ合格、
遅ければ失格などというものでは全くない。
コースタイムは基準ではない。
ゆっくりペースの場合や、花や展望を楽しみながらのんびりと歩く時は、
そのタイムより時間がかかるだろうし、単独行や登頂だけが目的の人、
トレーニングや日課で登る人、下山にタイムリミットのある場合などは自ずと速くなるだろう。
ある凡例によると、
コースタイムは「平均的なペースで歩いた場合の休憩時間を含まない正味の所要時間」で、
天候、コース状況、パーティ構成や登山者の体力などを考慮して、
あくまで参考として捉えてほしい旨の説明書きがある。
コースを調査し執筆する人によって、コースタイムには多少の違いが出る。
私が雑誌に寄稿する場合、
月に1~2度山登りを楽しんでいるような人2~3人をガイドする際の
私の標準的なガイディングタイムをコースタイムとして記載する。
例えば早池峰山小田越コース。
登山口から山頂まで2時間30分。もちろん休憩は含まない。
休憩時間を含めた山行時間なら2時間50分となる。
山登りに慣れた人にはやや遅いタイムと感じられるかもしれないが、
私自身は、初心者でもあまり疲れを感じず比較的快適に登れるタイムだと思っている。
コースタイムを常に「目標」と考えるなら、
それより速く歩けば達成感や満足感、優越感が得られるだろうし、
遅くなったら悔しい、負けた、と感じるかもしれない。
「目安」と考えれば、その数字に目くじらを立てることもあるまい。
「今日はのんびり、プラス30分で行こう」
「私たちは鈍行だから、プラス40分で」とか
「今日は挑戦、マイナス20分を目指そう」などと
柔軟に対応でき、山登りに余裕や意欲が湧いてくる。
コースタイムは飽くまで目安。
数字に惑わされず、自分の山登りを楽しみたいものだ。